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最終更新: 2026.07.19

ECリサーチのやり方|需要・売れ筋・価格・競合で見るべき指標

ECリサーチのやり方|需要・売れ筋・価格・競合で見るべき指標

ECリサーチとは、「何を売るか」「今ある商品をどう伸ばすか」を勘ではなくデータで決めるための調査です。見るべき領域は大きく5つ ── 需要(買いたい人がどれだけいるか)、売れ筋(今、実際に何が売れているか)、価格(いくらで売れているか)、競合/レビュー(誰と、どう戦うか)、そして忘れられがちな既存商品の改善(アクセス×転換率×客単価への分解)です。新規の商品を探すときも、すでに売っている商品をテコ入れするときも、この5領域を毎月同じ順で回すと判断がぶれません。

この記事では、汎用的な「市場を調べましょう」という話ではなく、楽天やAmazonで実際に見る画面と数字、そして「その数字が動いたらこう判断する」という基準まで落とし込んで解説します。

ECリサーチとは ── 「勘」から「データ」への5領域

ECリサーチの5領域(需要/売れ筋/価格/競合/既存改善)を示した図

多くの店舗が最初にやりがちなのが、「これは売れそう」という感覚で商品を選び、感覚で値段を付けることです。これ自体が悪いわけではありませんが、根拠がないため、売れなかったときに次の一手を決められません。ECリサーチの目的は、この意思決定を検証できる形に変えることにあります。

リサーチの対象は次の5領域に整理できます。

領域問い主に見る画面
① 需要買いたい人はどれだけいるか楽天サジェスト/ラッコキーワード/Googleトレンド
② 売れ筋今、実際に何が売れているか楽天ランキング/Amazon売れ筋ランキング
③ 価格いくらで売れているか競合の商品ページ(価格・送料・ポイント)/実売データ
④ 競合・レビュー誰と、どう戦うか競合店ページ/レビュー欄
⑤ 既存改善今ある商品をどう伸ばすか楽天RMSのR-Karte(アクセス・CVR・客単価)

①〜④は「新規商品を発掘する」ための調査、⑤は「今ある商品を改善する」ための調査です。せどりや仕入れの記事は①〜④に偏りがちですが、すでに店舗を運営している人にとっては⑤が売上に直結します。本記事は両方を扱います。

判断の土台になるのが、次の分解式です。

売上 = アクセス人数 × 転換率(CVR) × 客単価

需要・売れ筋・キーワードのリサーチは「アクセス人数」を増やす話、価格・レビュー・ページ改善は「転換率」と「客単価」を上げる話、と対応づけて考えると、どのリサーチが今の課題に効くのかが見えてきます。

【需要リサーチ】検索需要・サジェスト・トレンドで「買いたい人の数」を測る

需要リサーチは、「その商品を欲しがっている人がどれだけいるか」を検索データから推し量る工程です。使う画面は主に3つあります。

  1. 楽天サジェスト(楽天の検索窓に単語を入れたときに出る候補)
  2. ラッコキーワード(楽天・Amazonのサジェストを一括取得できるツール)
  3. Googleトレンド(検索の増減・季節性・トレンドの形状)

楽天サジェストは「買う気の高いニーズ」が出る

楽天サジェストの特徴は、そこに並ぶ言葉が購買意欲の高いユーザーが実際に探しているもの・求めている機能である点です。楽天はモール、つまり買い物をする場所なので、検索する人は情報収集ではなく購入を前提にしていることが多くなります。「マグカップ」と入れて「マグカップ 大きい」「マグカップ 割れにくい」と出れば、それがそのまま買い手の求める条件になります。

一方、ラッコキーワードやGoogleで拾える候補には、購入とは違う周辺ニーズ ── たとえば「バッテリー交換」「データ移行」のような情報系の検索 ── も混じります。これは需要の幅を広く知るには役立ちますが、そのまま「売れる条件」と受け取ると外します。楽天サジェスト=買う気の高いニーズ、ラッコ/Google=周辺ニーズも含む幅、と役割を分けて見るのがコツです。

Googleトレンドで「一過性か、成長か」を見極める

需要の量だけでなく、その需要がこれから伸びるのか、しぼむのかも重要です。Googleトレンドの曲線は、おおむね4つの形に分かれます。

  • 一過性の流行:急に跳ね上がってすぐ落ちる。参入が遅れると在庫を抱えやすい。
  • トレンド(長期):数年かけてゆるやかに上下する波。
  • 安定市場:年間を通して大きく動かない定番。
  • 成長市場:右肩上がりが続いている。参入の狙い目。

同じ「今よく検索されている」でも、急上昇の一過性なのか、順調な右肩上がりなのかで打ち手はまったく変わります。季節性の山(例:加湿器が秋冬に伸びる)もここで把握できます。市場規模そのものは、業界レポートやトレンドの絶対的な水準から推定します。

【売れ筋リサーチ】楽天/Amazonランキングの正しい見方

需要が「探されているか」だとすれば、売れ筋は「実際に買われているか」です。ここで見るのが各モールのランキングです。

ランキングは粒度の使い分けが肝心

楽天ランキングには複数の集計期間があり、それぞれ意味が違います。

集計期間分かること使いどころ
リアルタイム今この瞬間の勢いトレンドの初動を掴む
デイリー直近1日の売れ方短期の波・キャンペーン反応
ウィークリー1週間の安定した売れ方定番の強さを見る
月間1ヶ月の総合力ロングセラーの見極め

Amazonの売れ筋ランキングは毎時更新で、売上ベースで並びます。より細かくカテゴリやキーワードで絞りたい場合はSellerSpriteなどの有料ツールを使います。

判断の基本は、リアルタイム/デイリー=今の勢い、ウィークリー/月間=定番の強さ。この2つを突き合わせると、その商品が「一過性の盛り上がり」なのか「安定して売れている定番」なのかが見えます。ランキング上位商品の価格帯を並べて眺めると、そのジャンルで売れている価格のゾーンも同時に掴めます。

楽天ランキングの読み解きは奥が深いため、集計期間別の具体的な使い方や、順位推移の追い方は[楽天ランキング調査の記事](/ec/rakuten-ranking-research/)で詳しく解説しています。

レビューは「件数」ではなく「更新頻度」で勢いを測る

ランキングと並んで売れ筋の勢いを示すのがレビューですが、ここで見落としやすいのが更新頻度です。同じ「レビュー100件」でも、1年かけて100件付いた商品と、直近1ヶ月で100件付いた商品では意味がまったく違います。

  • 累計件数 → その商品の通算の実績
  • 直近の新着件数(更新頻度) → 今まさに売れているかの勢い

新着レビューが多い商品ほど、直近の売上が伸びている=トレンド性が高いと判断できます。件数だけを見て「レビューが多いから安泰」と考えると、すでに勢いが止まっている商品を過大評価してしまいます。レビュー本文からは「どんな悩みを解決して選ばれたか」も読み取れるので、参入や商品改善のヒントとして本文まで目を通す価値があります。

【価格リサーチ】相場・売れる価格帯・実質価格の3点セット

価格リサーチでよくある失敗が、「競合の表示価格だけを見て、それより少し安く付ける」ことです。値付けで見るべきは次の3つです。

  1. 相場:そのジャンルの主力商品が、だいたいいくらで売られているか。
  2. 売れる価格帯:1,000円未満/3,000円台/5,000円超、といった帯で分類し、どの帯が多く売れているか。値付けは「相場に合わせる」より「売れている帯のどこを取るか」で設計します。
  3. 実質価格:表示価格そのものではなく、送料・ポイント還元・クーポン・セット割引を含めた、買い手が実際に負担する額。

「表示価格だけ比較」の落とし穴

たとえば自店が「本体1,980円+送料500円」、競合が「本体2,180円・送料無料・ポイント10倍」だったとします。表示価格では自店が200円安く見えますが、実質価格では、

  • 自店:1,980 + 500 = 2,480円の負担
  • 競合:2,180 - ポイント218 = 実質1,962円

と逆転します。送料・ポイント・セット割を含めた実質価格で並べないと、競合比較そのものを誤ります。

調査規模で3層を使い分ける

価格調査のやり方は、対象の広さと深さで3層に分かれます。優劣ではなく、規模に合わせて選びます。

方法向いている場面
① 手動競合ページを目視し、スプレッドシートに記録数〜数十商品・単発の確認
② 監視ツール自動の価格監視ツールで変動を継続追跡多数商品の値動きを常時ウォッチ
③ 実売データモールの実売データ(価格×販売量×シェア)市場全体で「売れる価格帯」を発見

まずは①の手動で十分です。扱う商品数が増え、値動きを追いきれなくなったら②③へ広げます。

【競合リサーチ】競合店の5項目チェックとセラーリサーチ

競合を見るときは、「なんとなく強そう」で終わらせず、次の5項目を決まった順でチェックします。

項目具体的に見るもの
① 価格設定実質価格・価格帯・セット構成
② 商品構成・品揃えSKU数・新商品の投入頻度・PB(自社ブランド)の有無
③ 集客・販促広告の出し方・特集・クーポンの打ち方
④ 商品ページ写真点数・訴求ポイント・情報量
⑤ レビュー返信返信の有無・トーン・不満への対応

特に②の「新商品投入頻度」は、その店がどれだけ活発に動いているかを映します。手作業では掴みにくい「競合が今どの商品で売れているか」は、モールの実売データを使うと特定できます。

セラーリサーチ ── 勝っている出品者を丸ごと追う

Amazonで有効なのがセラーリサーチです。リサーチをしていて、同じライバル出品者を何度も見かけることがあります。その出品者は、同じような手法で売れ筋を選んでいる可能性が高いと考えられます。そこで、その出品者が扱っている他の商品をたどると、それがそのまま仕入れ・参入の候補リストになります。1商品ずつ探すより、勝っている人の商品ラインナップを丸ごと参考にするほうが効率的です。

【レビュー分析】不満コメントは「次に直す商品の仕様書」

レビューは、競合の強みと弱みが買い手の言葉で書かれた宝の山です。見るべき指標を整理します。

  • 星の平均:全体的な満足度の水準。
  • 件数と更新頻度:前述のとおり、勢いは件数より頻度で測る。
  • 写真付きレビューの割合:写真付きが多いほど、購入者の熱量・実使用の証拠が濃い。
  • 不満コメントの傾向:ここが最重要。

高評価レビューは「なぜ選ばれたか」を、低評価・不満レビューは「何が足りないか」を教えてくれます。競合商品への不満は、そのまま自社が次に作る/直す商品の仕様書になります。「思ったより小さかった」という不満が多ければサイズ表記と選択肢を、「梱包が雑」という声が多ければ梱包を、といった具合に、改善点を買い手の言葉から直接引き出せます。

売れるキーワードの見つけ方 ── ビッグ/ミドル/スモールの3階層

キーワードは検索ボリュームの大きさで3階層に分けて考えます。

階層特徴
ビッグワードマグカップ検索は多いが競合だらけ・購買意欲はまちまち
ミドルワード軽量 マグカップ検索・競合ともに中程度
スモールワード北欧 軽量 マグカップニッチだが購買意欲が高く上位を取りやすい

初心者がやりがちなのが、いきなりビッグワードで勝負しようとすることです。しかしビッグワードは競合が強く、新規店舗が上位に食い込むのは困難です。現実的な順番は、まずミドル・スモールワードで上位表示とレビューを積み、販売実績を作ってからビッグワードへ広げる流れです。

もう一つ大切なのが、「集客キーワード」と「売れるキーワード」を区別することです。売上はアクセス×転換率×客単価の掛け算なので、いくらアクセスの多いキーワードで上位を取っても、そのキーワードで来た人が買わなければ売上は伸びません。狙うべきは、検索数の多さよりも転換につながる(買う気で検索されている)キーワードです。

既存商品を伸ばすリサーチ ── R-Karteでアクセス×CVR×客単価に分解する

ここまでは主に新規商品を発掘する視点でしたが、すでに店舗を運営しているなら、今ある商品をリサーチで伸ばすほうが早く効くことが多くあります。使うのは楽天RMSのアクセス分析ツール「R-Karte」です。

売上を次の3指標に分解します。

売上 = アクセス人数 × 転換率(CVR) × 客単価

売上が動いたとき、この3つのどれが変わったのかを見ると、打つべき手が絞れます。

弱い指標疑うべき原因打ち手の方向
アクセス人数そもそも見られていない需要・キーワード・広告・ランキング露出
転換率(CVR)見られているが買われない価格(実質価格)・商品ページ・レビュー
客単価買われるが単価が低いセット販売・まとめ買い・上位商品への誘導

たとえば「アクセスはあるのに売れない」なら、需要を掘り直すより先に、価格とページとレビューを疑うのが筋です。逆に「ページの出来はいいのにアクセスが少ない」なら、キーワードとランキング露出の問題です。新規発掘のリサーチと同じ指標(需要・価格・レビュー)を、今度は自店の1商品に当てて診断するイメージです。

ECリサーチに使えるツール(無料/有料)と役割分担

ツールは「無料でどこまでできて、どこから有料か」を押さえると迷いません。

ツール区分主な用途
楽天サジェスト無料購買目的の需要・求める機能を掴む
楽天/Amazon 売れ筋ランキング無料今売れている商品・価格帯を掴む
ラッコキーワード無料楽天・Amazonサジェストの一括取得
Googleトレンド無料需要の増減・季節性・トレンド形状
Keepa有料Amazon価格・ランキングの時系列
SellerSprite有料Amazonのキーワード・カテゴリ別の詳細分析
Nint等の実売データ有料市場全体のシェア・売れる価格帯・競合売れ筋

需要・売れ筋・キーワードの一次把握は、無料ツールだけで十分に回せます。価格の時系列や、市場全体のシェア・実売データといった「一段深い層」を掘るときに、初めて有料ツールを検討すれば十分です。

まとめ ── リサーチを「毎月回す仕組み」にする

ECリサーチは一度やって終わりではなく、毎月同じ順で回すことで意味を持ちます。需要・売れ筋・価格・競合/レビューで新規の芽を探し、同じ指標をR-Karteで自店の既存商品に当てて改善する ── この両輪を習慣にすると、感覚頼りだった意思決定が、検証できるデータに変わっていきます。

見るべき数字が多く感じられるかもしれませんが、最初は「売れ筋ランキング → 楽天サジェスト」の2つから始めれば十分です。売れているものを起点に、その周辺の検索ニーズを広げるだけでも、大きく外すことは減ります。

よくある質問(FAQ)

Q. ECリサーチは無料でどこまでできますか? A. 楽天サジェスト、楽天/Amazonの売れ筋ランキング、ラッコキーワード、Googleトレンドはすべて無料です。需要・売れ筋・キーワードの一次把握は無料ツールだけで十分回せます。相場の時系列(Keepa)や市場全体のシェア・実売データ(Nint等)が有料の領域です。

Q. 初心者はどのリサーチから始めればいいですか? A. まず「売れ筋リサーチ(ランキング)」、次に「需要リサーチ(サジェスト)」の順がおすすめです。売れているものを起点に、その周辺の検索ニーズを広げると外しにくくなります。価格・競合は候補が絞れてから深掘りします。

Q. レビューは件数が多ければ良い商品ですか? A. 件数だけでは判断できません。見るべきは更新頻度(直近1ヶ月に何件付いているか)と不満コメントの傾向です。件数が多くても新着が止まっていれば勢いは落ちています。

Q. 価格は競合に合わせて安くすればいいですか? A. 安易な値下げは避けたほうが無難です。送料・ポイント・セット割を含む「実質価格」で比較し、売れている価格帯のどこを取るかを設計します。安さより「その価格帯で選ばれる理由(レビュー・ページ)」のほうが効きます。

Q. ランキングのリアルタイムと週間、どちらを見ればいいですか? A. 用途次第です。今の勢い・トレンドの波を掴むならリアルタイム/デイリー、定番として安定して売れている強い商品を知るなら週間/月間を見ます。両方を突き合わせると「一過性か定番か」が見えます。

参考

  • Nint「ECサイトの競合調査ガイド【2026年版】」 https://www.nint.jp/blog/ec-competitor-research/
  • Nint「今売れている商品はどう見抜く?データで始めるEC市場分析の基本」 https://www.nint.jp/blog/ec-market-analysis/
  • Nint「EC 価格調査の方法|競合価格を効率的に把握する手順」 https://www.nint.jp/blog/ec-price-research/
  • Shopify 日本「商品リサーチ:売れる商品の見つけ方」 https://www.shopify.com/jp/blog/product-research
  • EC STARs Lab「せどりで売れる商品をリサーチする5STEP」 https://ecstarslab.com/blog/sedori-research/
  • ラッコキーワード「楽天サジェストキーワード取得ツール」 https://rakkokeyword.com/techo/suggest-rakuten/
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西尾 勝太

西尾 勝太株式会社ラクダ 代表

楽天SOY 2年連続受賞 / 楽天NATIONSリーダー店舗 / 楽天NATIONS AIエバンジェリスト

楽天市場の月商を5年で200万円→2億円に伸ばした現場の実践者。売れるECの方程式にAIを重ね、EC事業者の「次の一手」に伴走しています。

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