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最終更新: 2026.07.20

楽天AIでデータ分析する方法|質問例とR-Karteでの検証手順

楽天AIでデータ分析する方法|質問例とR-Karteでの検証手順

Rakuten AI for RMSの「AIチャットで質問(データ分析)」を使うときは、単に「売上が落ちた理由を教えて」と聞くのではなく、目的、期間、比較対象、指標、欲しい出力を指定します。回答が得られたら、そのまま施策へ移さず、R-Karteなどの元データで数値・期間・単位を照合してください。

AIの役割は、店舗の代わりに経営判断を確定することではありません。確認する順番を整理し、変化の大きい商品や指標を見つけ、次に検証する仮説を作ることです。この記事では、楽天市場の店舗がAIチャットでデータ分析を始める手順、質問例、回答の検証、改善施策への落とし方を解説します。

AIチャットで質問(データ分析)とは

「AIチャットで質問(データ分析)」は、Rakuten AI for RMSの店舗運営サポートチャットに位置付けられる機能です。2026年4月30日にリリースされた機能で、概要、操作方法、活用シーンが案内されています。

RMSに関する一般的な質問へ答えるチャットと、店舗データを分析する質問は目的が異なります。本稿では後者を扱います。利用対象、表示される画面、参照できるデータや期間は、現行RMSの「Rakuten AI for RMSの概要」とガイドラインを確認してください。

Rakuten AI for RMSの機能全体や導入の考え方は「楽天市場のAI活用とは」、商品画像加工は「Rakuten AI for RMSの商品画像加工支援」で解説しています。

分析前に決める5項目

分析前に決める5項目を示す図解

良い質問は、分析条件を再現できます。チャットを開く前に、次の5項目をメモします。

項目決める内容悪い例改善例
目的何を判断するか売上を分析して売上低下の要因候補を絞りたい
期間対象日と粒度最近7月1日〜14日を日別で
比較比較先前と比べて前年同曜日・直前2週間と比較
指標見たい数値成績売上、アクセス人数、転換率、客単価
出力欲しい形詳しく変化率の大きい順に表で3件

質問の基本形は次のようになります。

目的:売上低下の要因候補を絞りたい。対象:7月1日〜14日の店舗全体。比較:前年の同曜日構成。指標:売上、アクセス人数、転換率、客単価。出力:変化率、影響額、確認すべき商品を表で示して。

一度に条件を詰め込み過ぎた場合は、店舗全体、商品、顧客、広告の順に質問を分けます。最初から原因を決めつける語を入れず、増減が大きい事実から確認します。

売上低下は3要素へ分解する

店舗売上は、概念的に「アクセス人数 × 転換率 × 客単価」で分解できます。売上が落ちたときは、どの要素の変化が大きいかを先に確認します。

変化した指標主な確認候補
アクセス人数検索流入、広告、メルマガ、イベント、露出、欠品
転換率商品ページ、価格、送料、納期、レビュー、在庫
客単価商品構成、セット販売、買い回り、値引き、高単価商品の販売数

質問例は次のとおりです。

  • 対象期間と比較期間で、売上・アクセス人数・転換率・客単価の増減を表にして
  • 売上減少への影響が大きい指標を、変化率と差額を分けて示して
  • 店舗全体の低下に影響した商品を、売上差額の大きい順に5商品示して
  • 数値から断定できる事実と、追加確認が必要な仮説を分けて

「広告が原因ですか」のように原因を先に置くと、その前提に沿った答えになりやすくなります。まず変化を抽出し、その後に広告、価格変更、欠品などの運用履歴と照合します。

商品分析に使える質問例

商品単位では、売上額だけでなく、アクセス、転換率、販売数、単価の変化を組み合わせます。

売れ筋の変化を調べる

直近4週間とその前4週間を比較し、売上増加額が大きい商品を5件示して。アクセス人数、転換率、客単価のどれが寄与したかも分けて。

売上増加率だけでは、販売数の少ない商品が上位になることがあります。増加率と増加額を分け、最低限必要な販売数も確認します。

改善候補を探す

アクセス人数は多いが転換率が店舗中央値を下回る商品を抽出し、改善候補を優先順に示して。比較期間と使用した指標も明記して。

抽出後は、価格、送料、納期、在庫、商品画像、レビューを人が確認します。転換率が低いだけで商品ページが悪いとは限らず、広告で広い層を集めた結果かもしれません。

欠品の影響を調べる

売上が落ちた商品のうち、対象期間に在庫切れまたは販売停止の影響が疑われる商品を挙げて。AIが確認できない情報は確認不能と表示して。

AIが参照できないデータを推測で埋めないよう、確認不能の明示を依頼します。実際の在庫履歴や販売期間はRMSの商品情報、受注、運用記録で照合します。

広告分析に使う質問例

広告の評価では、広告経由売上だけでなく、費用、アクセス、転換率、商品粗利を分けます。

対象期間の広告別に、表示、クリック、広告費、注文、広告経由売上を比較したい。参照できる項目だけを使い、参照できない項目は明記して。

広告経由のアクセスが増えた商品について、店舗全体のアクセス・転換率の変化も示して。因果関係は断定せず、確認すべき仮説を3件に絞って。

広告レポートは媒体ごとに成果計測条件が異なります。AI回答と広告管理画面で対象期間や成果の定義が一致するか確認してください。CTR、CVR、ROASと利益の読み方は「楽天広告パフォーマンスレポートの見方」で詳しく整理しています。

顧客分析で確認すること

「AIチャットで質問(データ分析)」は、顧客分析や自店舗のターゲット把握にも活用できます。ただし、顧客分析では、機能が集計結果として提供する範囲を守り、個人を特定しようとしないことが重要です。

質問は、店舗が実際に参照可能な集計データを前提にします。

  • 対象期間の顧客傾向を、比較期間との差が大きい順に整理して
  • 初回とリピートの違いを確認できる範囲で比較して
  • 商品群ごとに購入傾向の違いを集計し、販促仮説を3件示して
  • 使用した期間、定義、集計対象、確認できない項目を明記して

「この人は誰か」「個別顧客の購入履歴を出して」といった、特定や過剰な個人情報利用につながる質問は避けます。利用できるデータと用途は、現行のRakuten AI for RMSガイドライン、自社の権限・個人情報管理ルールに従います。

AIの回答をR-Karteで検証する

AIの回答をR-Karteで検証するを示す図解

AIの出力は、分析の下書きです。施策を決める前に、次の順で検証します。

1. 期間と比較条件

開始日、終了日、前年・前月・直前期間のどれと比較したかを確認します。曜日数や楽天市場イベントの有無が違う場合は、その差を記録します。

2. 指標の定義と単位

売上が税込みか、注文か確定値か、アクセスが人数か回数か、率が百分率か小数かを確認します。AIの表の見出しだけで推測しません。

3. R-Karteの元画面

店舗全体、商品、アクセスなど、回答に対応するR-Karteの画面で代表値を照合します。全件一致を機械的に確認できない場合でも、合計、最大変化の商品、判断に使う数値は確認します。アクセス分析の手順は「R-Karteでアクセス流入を分析する方法」も参照してください。

4. 運用履歴と外部要因

広告開始、価格変更、ポイント、クーポン、欠品、納期変更、イベント、競合施策を重ねます。同時に起きた変化を、原因と断定しないようにします。

5. 再現性

質問文、実行日、対象期間、回答要約、照合した画面を保存します。同じ条件でも機能更新等で出力が変わる可能性があるため、重要な判断は元データを残します。

回答を施策へ落とす優先順位

AIが10個の改善案を出しても、同時には実行しません。影響度、確信度、実行難易度、戻しやすさで絞ります。

評価軸確認すること
影響度売上・利益への影響額が大きいか
確信度元データと運用履歴で裏付けられるか
実行難易度担当、時間、費用、在庫を確保できるか
可逆性効果がなければ安全に戻せるか

最初の施策は一つに絞り、「どの指標が、いつまでに、どの程度変われば成功か」を決めます。たとえば、アクセスが多く転換率が低い商品なら、商品画像の一要素だけを変え、同条件の比較期間で転換率と広告後利益を確認します。

AIが示した案を採用しなかった理由も残します。これにより、翌週に同じ提案を繰り返すことを防げます。

入力情報と権限の注意点

AIチャットへ入力できるからといって、すべての情報を貼ってよいわけではありません。

  • 顧客を特定できる氏名、住所、電話番号、メールアドレス
  • クレジットカード等の決済情報
  • RMSや外部サービスのID、パスワード、秘密鍵
  • 取引先との秘密情報、未公開商品、契約条件
  • 社内規程で外部・AI入力を禁止した情報

必要な分析は、商品番号、期間、集計値など、目的を満たす最小限の情報で行います。どのデータを機能が参照し、会話データをどのように扱うかは、現行ガイドラインを確認してください。権限のない担当者が、閲覧できないデータの抽出を依頼しない運用も必要です。

よくある質問

楽天AIだけで売上低下の原因を確定できますか?

確定はできません。数値の同時変化から仮説を作れても、広告、欠品、競合、価格変更等との因果関係は、R-Karteと運用履歴で検証します。

うまく回答されないときはどうしますか?

目的、期間、比較対象、指標、出力形式を明記し、店舗全体・商品・顧客・広告の質問を分けます。参照できないデータは推測せず明記するよう依頼してください。

AIの数字とR-Karteが一致しない場合は?

期間、更新時点、指標定義、単位、キャンセル等の反映を確認します。重要な差異が解消しない場合は、その数値を判断に使わず、現行のサポート窓口へ確認します。

どの質問から始めるとよいですか?

売上、アクセス人数、転換率、客単価を比較期間と並べ、変化の大きい要素を示す質問から始めます。次に影響の大きい商品へ絞ります。

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西尾 勝太

西尾 勝太株式会社ラクダ 代表

楽天SOY 2年連続受賞 / 楽天NATIONSリーダー店舗 / 楽天NATIONS AIエバンジェリスト

楽天市場の月商を5年で200万円→2億円に伸ばした現場の実践者。売れるECの方程式にAIを重ね、EC事業者の「次の一手」に伴走しています。

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