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最終更新: 2026.07.19

楽天市場のAI活用とは?店舗運営でできることと始め方

楽天市場のAI活用とは?店舗運営でできることと始め方

楽天市場のAI活用は、RMSの仕事をすべて自動化するものではありません。商品説明文の下書き、商品画像の背景加工、問い合わせ・レビュー返信の文案、レビュー分析、R-Karteの数値の読み取りなどをAIに支援させ、店舗担当者が事実確認と最終判断を行う使い方が基本です。

最初にやることは、AI機能を片端から試すことではなく、R-Karteで「アクセス人数・転換率・客単価」のどこに課題があるかを絞ることです。その後、1カテゴリや1種類の問い合わせなど小さい範囲で試し、作業時間だけでなく誤りや差し戻しも測ります。これなら、AIを使うこと自体が目的にならず、担当者の次の行動まで決められます。

結論:AIに任せるのは下書きと分析、人が決めるのは事実と対応

店舗での役割分担は、次のように考えると迷いません。

業務AIに任せる範囲店舗担当者が確認する範囲
商品登録説明文案、構成案素材、サイズ、数量、価格、保証、配送条件、禁止表現
商品画像背景加工、利用シーン案色・形・柄・ロゴ・付属品・個数と実物の一致
レビュー傾向整理、返信文案原文、事故・法令リスク、公開返信の内容
問い合わせ回答案、文章の校正注文情報、在庫、配送、返品・返金、送信判断
データ分析数値の要約、仮説の提示販促・価格・在庫・季節性との照合、施策決定

自然な文章やもっともらしい分析でも、正しいとは限りません。「AIが案を作る→元資料と照合する→承認者が公開・送信する」を崩さないことが、効率と安全性を両立させる条件です。

公式仕様:RMSで確認できるAI支援の範囲

楽天の2024年4月30日付公式発表では、出店店舗向け機能は「RMS AIアシスタント β版」と案内されました。2026年7月の楽天説明会を扱った報道では「Rakuten AI for RMS」という名称が使われていますが、一般公開された公式の改称告知は今回の調査では確認できませんでした。本記事では、両者を同じ店舗向けAI支援の流れとして扱います。

公式仕様として確認できることは、R-Storefrontでの商品説明文作成支援、商品画像の背景加工、R-Messeでの問い合わせ回答案作成、R-Karteでの店舗カルテ分析支援、RMS上のAIチャットです。楽天の現行AI紹介ページでは、商品登録、画像生成・加工、レビュー分析、顧客対応も支援領域として案内されています。レビュー返信文の生成は、楽天市場出店のクレーム対応記事でも確認できます。

2026年の報道で確認できたこととして、問い合わせ回答の校正、商品ページ情報を踏まえたレビュー返信、会話形式で売上データを掘り下げる「データ分析エージェント」があります。ただし、機能ごとの詳細仕様は一般公開の楽天公式ページだけでは確認しきれません。

なお、購入者向けの「Rakuten AI」は、楽天市場アプリで商品探索などを支援する機能です。出店店舗がRMS内で使うAIとは対象が異なります。また、需要予測、在庫最適化、24時間チャットボットといったEC一般のAI活用例が、すべてRMSの標準機能として提供されているわけではありません。

理由:先にR-Karteで改善対象を決める

楽天公式は、売上を次の関係で説明しています。

売上 = アクセス人数 × 転換率 × 客単価

アクセス人数が落ちているなら、商品説明文を量産しても主因に届かない可能性があります。アクセスはあるのに転換率が低いなら、説明不足、画像と実物の見え方、価格・配送条件、レビューに繰り返し出る不安を確認します。客単価が課題なら、文章の改善だけでなく、商品構成や買い方の設計も検討対象です。

AIによる解説は、原因の証明ではなく仮説を見つける補助です。対象期間と比較期間をそろえ、広告、セール、価格変更、在庫切れ、配送条件、季節性、ページ更新を重ねて見ます。同ジャンル平均も参考値であり、そのまま自店の目標にはしません。

編集部提案の質問例

前週と前年同週を比較し、売上変化をアクセス人数・転換率・客単価に分解してください。変化が大きい項目と、追加確認が必要な仮説を3つ挙げてください。

編集部提案:小さく始める5つの手順

以下は楽天の公式手順ではなく、店舗で検証しやすくするための編集部提案です。

  1. 課題を一つ決める:商品説明の作成時間、画像制作、返信時間、レビュー把握、数値分析の停滞から一つ選びます。
  2. 導入前を記録する:作業時間、処理件数、修正率、初回返信時間、転換率、問い合わせ件数など、目的に近い数字を残します。
  3. 対象を限定する:情報が整理済みの商品、1カテゴリ、一定期間のレビュー、定型問い合わせなど、人が全件確認できる量で試します。
  4. 確認者と停止条件を決める:誰が公開・送信を承認するか、誤った仕様、個人情報、法令・安全性に関わる内容が出た場合に誰へ戻すかを決めます。
  5. 導入前後を比較する:短縮時間だけでなく、修正回数、見落とし、顧客影響も確認し、問題がない業務だけ広げます。

試行時は「元情報」「AI案」「修正後の公開版」を残してください。繰り返す誤りが分かれば、次のチェックリストに追加できます。

業務別の判断例と担当者の次の行動

商品説明・画像

商品マスターに素材、サイズ、原産国、対応条件、同梱物、保証、配送条件がそろっている商品は試しやすい対象です。AI案は「確認済みの事実」「訴求表現」「注意事項」に分けて照合します。画像は背景が自然かだけでなく、商品本体の色、形、柄、容量、数量、付属品が変わっていないか原画像と比較します。

健康食品、化粧品、医薬部外品などは薬機法、商品全般では景品表示法、知的財産、楽天市場の表示ルールを別途確認します。判断できる担当者がいない商品は、自動公開せず保留にします。

レビュー分析・返信

レビューは「商品品質」「情報不足」「配送・梱包」「顧客対応」「期待値のずれ」に分けると、次の確認先を決めやすくなります。たとえば「サイズが分かりにくい」が続くなら、商品変更を急ぐ前に、サイズ表、比較画像、測り方を見直します。

低評価、破損、健康被害、法令・安全性に関わる内容は必ず原文へ戻ります。返信案では、未確認の事実を認めない、投稿者の感情を決めつけない、公開欄に注文情報を書かない、無権限で返金・補償を約束しないことを確認します。

問い合わせ対応

  • 定型・低リスク:営業時間、ラッピング可否など。店舗テンプレートと照合して担当者が送信する。
  • 個別注文:配送状況、住所変更、同梱、キャンセルなど。受注情報を人が確認し、AIは文章整理に限定する。
  • 高リスク:破損、健康被害、個人情報、返金・補償、法的主張など。送信せず責任者へ引き継ぐ。

公開情報で確認できる中心は回答案の作成・校正支援であり、24時間の無人自動返信ではありません。敬語が整っていても、配送予定日や返金可否が誤っていれば送信できません。

料金・対象店舗・現行仕様の確認方法

2026年7月の楽天説明会に基づく報道では、Rakuten AI for RMSは楽天市場の出店プラン加入店舗が追加料金なしで利用できるとされています。一方、楽天の公開料金表にはAI機能単独の料金項目が見当たりません。「AIの追加料金がない」ことと、「楽天市場への出店や周辺機能が無料」であることは別です。出店料、システム利用料、楽天ペイ利用料、R-Messeなどの料金・提供条件は分けて確認してください。

2026年7月19日時点の一般公開情報では、生成回数の上限、機能別の対象店舗・権限、段階公開の有無、PC・スマートフォンの対応範囲、履歴の保存・削除仕様を確定できませんでした。担当者は導入前に、RMS内のお知らせ、店舗運営Navi、Rakuten AI for RMSのガイドライン、契約内容、実際の管理画面で最新条件を確認してください。画面名や提供条件は今後変わる可能性があります。

注意点:個人情報・法令・成果を混同しない

楽天グループは責任あるAIに関する方針を公開しています。ただし、Rakuten AI for RMS固有の入力・出力ログの保存期間、削除方法、学習利用、保存地域、現行の基盤モデル構成は、今回確認した一般公開情報だけでは確定できません。2024年の公式発表には一部機能でGPT-4を活用したとありますが、2026年現在の全機能が同じモデルとは断定できません。

編集部提案の公開・送信前チェックリスト

  • 商品仕様、数値、価格、配送条件を正しい元資料と照合したか
  • 画像が実物の色・形・数量・付属品を誤認させないか
  • 法令、知的財産、楽天市場の表示ルールを確認したか
  • 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、注文番号などを不要に追加入力していないか
  • レビューの重大判断は要約だけでなく原文を確認したか
  • 注文情報、返品・返金条件、補償範囲を担当者が確認したか
  • 公開・送信の承認者と、高リスク案件の引き継ぎ先が決まっているか
  • 売上変化をAIだけの効果と決めつけず、販促・価格・在庫なども確認したか

個別店舗で作業時間が短縮した事例はありますが、全店舗で同じ成果が出る保証ではありません。速さだけでなく、差し戻し率、誤り、同種問い合わせの再発、ページ改善後の転換率などを併せて判断します。

この状況なら次に何をするか

まだ課題が曖昧なら、まずR-Karteでアクセス人数・転換率・客単価を比較し、変化の大きい一項目を決めてください。課題は見えているが運用が不安なら、対象業務、AIへ渡す情報、確認者、停止条件を1枚に整理してから試します。個人情報や表示ルールを含む運用設計、RMSの改善箇所の切り分けに迷う場合は、現状の業務フローをもとに相談するか、関連記事から該当業務の改善方法を確認できます。

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西尾 勝太

西尾 勝太株式会社ラクダ 代表

楽天SOY 2年連続受賞 / 楽天NATIONSリーダー店舗 / 楽天NATIONS AIエバンジェリスト

楽天市場の月商を5年で200万円→2億円に伸ばした現場の実践者。売れるECの方程式にAIを重ね、EC事業者の「次の一手」に伴走しています。

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