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受注残とは?ECでの意味と溜まったときの対処

受注とは、顧客からの注文を正式に受け付け、出荷・納品の義務が確定した状態を指します。ECモールでは、買い物かごから注文が入った時点で受注が立ち、出荷を終えるまでが店舗側の責任範囲です。
受注残とは、その受注のうち、まだ出荷を完了していない注文や、その未出荷金額のことです。会計や経営数値の文脈では受注残高と呼ばれ、英語では backlog と表記されます。ECでは件数だけでなく、約束日の超過状況や保留理由まで分けて管理する必要があります。
受注残とは何を意味するのか
受注残には、未出荷注文の作業量を表す意味と、未出荷分の金額を表す意味があります。
受注残とは、顧客からの注文が確定している一方で、商品の出荷が完了していない状態の注文です。件数・商品行数・個数で数える場合は、物流や受注処理の作業量を表します。
一方、未出荷注文に対応する金額は「受注残高」と呼びます。受注残高は将来の売上予定を確認する指標ですが、出荷や売上計上が済んだ金額とは区別しなければなりません。
| 用語 | 定義 | 主な単位 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| オペレーション上の受注残 | 確定後、出荷を完了していない注文 | 件・行・個 | 作業量と遅延の把握 |
| 受注残高 | 未出荷注文に対応する金額 | 円 | 売上予定額と返金リスクの把握 |
期末受注残は「期首受注残+当期確定受注-当期出荷-キャンセル・減額」で捉えられます。内閣府の機械受注統計でも、受注額、販売額、受注残高は別項目として管理されています。
ただし、同統計の定義をECの注文ステータスへ直接適用することはできません。自社で受注確定と出荷完了の基準を決め、集計範囲を固定することが重要です。
ECではどの注文を受注残に含めるのか

注文確定から出荷完了までを基本範囲とし、決済待ちや予約注文などは別区分で管理します。
注文確定後の出荷待ちだけでなく、ピッキング中や梱包中の注文も受注残です。一部出荷済みの注文は、まだ出荷していない商品行または個数だけを残します。
| 注文の状態 | 管理上の扱い |
|---|---|
| 注文確定・出荷待ち | 受注残に含める |
| ピッキング・梱包中 | 受注残に含める |
| 一部出荷済み | 未出荷部分のみ含める |
| 支払確認待ち | 決済待ちとして分ける |
| 住所・不正注文の確認待ち | 保留として分ける |
| 約束日前の予約商品 | 将来受注残として分ける |
| 約束日を超えた予約商品 | 遅延受注残に含める |
| キャンセル済み | 受注残から除外する |
| 出荷済み・追跡番号連携待ち | システム連携残として分ける |
物流上は出荷済みでも、追跡番号がモールへ反映されていない注文があります。この状態を通常の受注残へ混ぜると、倉庫の作業残を実態より多く見積もってしまいます。
受注残高では、税込・税抜、送料、値引き、ポイントの扱いも統一します。楽天の管理画面上の定義と一致するとは限らないため、お使いの管理画面と公式マニュアルで確認してください。
受注残が溜まる主な原因
受注残は、受注数が出荷能力を上回る場合や、在庫・調達・確認作業が注文を止める場合に増えます。
楽天スーパーSALEや広告掲載、季節需要による注文急増は代表的な原因です。平常時の出荷能力だけで販促を実施すると、在庫があっても倉庫内の処理が追いつきません。
| 原因群 | EC店舗で起こる具体例 |
|---|---|
| 在庫不整合 | モール間の更新遅延、棚卸差異、返品未反映 |
| 需要急増 | セール、広告掲載、SNS拡散、季節需要 |
| 調達遅延 | 仕入先欠品、輸入遅延、入荷数不足 |
| 倉庫能力不足 | 人員不足、梱包資材不足、入出荷の競合 |
| 注文設計 | 1商品の欠品で同梱注文全体を保留 |
| 個別対応 | 名入れ、ギフト、温度帯、大型便への対応 |
| 顧客確認 | 入金待ち、決済エラー、住所不備、不正確認 |
| システム障害 | OMS・WMS・API・送り状連携の停止 |
| 配送制約 | 集荷上限、災害、繁忙期の輸送制約 |
| 管理不足 | 古い注文の埋没、保留理由や対応日の未設定 |
複数モールで同じ現物在庫を販売すると、在庫更新の遅れが売り越しにつながります。楽天、Amazon、自社ECに各100個を表示していても、現物が100個なら全社在庫は100個です。
また、実際の在庫や処理能力より短い出荷リードタイムを表示すると、通常の処理でも約束日を超えやすくなります。注文数だけでなく、商品行数やギフト対応の比率も作業負荷を左右します。
受注残が長引くと何が起こるのか
受注残の長期化は、キャンセルや問い合わせを増やし、資金繰りと出荷能力の双方を悪化させます。
商品を発送できなければ、売上予定額は現金化されず、仕入費や広告費だけが先行します。緊急仕入れ、分納、速達便、返金対応などの追加費用が生じることもあります。
問い合わせが増えると、出荷担当者が顧客対応へ取られ、さらに出荷が遅れる循環が発生します。予約商品と通常商品を同梱する設計では、予約品の遅れが通常品にも連鎖します。
楽天の公開情報では、レビュー、問い合わせ対応、配送品質などの実績が重要なユーザー接点として扱われています。迅速に配送できる商品が、一時的に検索上の優遇を受ける場合があることも説明されています。
ただし、遅延件数と検索順位や店舗評価との具体的な対応関係は公開情報だけでは確認できません。判定基準や管理画面の場所は、お使いの管理画面と最新の公式マニュアルで確認してください。
通信販売では、引渡時期を「○日以内」や「○月○日まで」のように明確に表示する必要があります。「入荷次第」や「入金確認後発送」だけでは、引渡時期の表示として不十分です。
前払い後すぐに発送できない場合は、承諾の有無、受領金額、商品・数量、具体的な引渡時期などの通知が必要です。消費者庁の案内では、「遅滞なく送付」の目安は取引実態上おおむね1週間程度とされています。
溜まった受注残をどう解消するのか
最初に約束日と保留理由で注文を分け、超過注文と欠品SKUへ優先的に対応します。
- 受注残を、約束日超過、本日約束、将来約束、決済待ち、在庫待ちに分類します。
- 最古注文、日時指定、季節商品、贈答用途を確認し、対応の優先順位を決めます。
- 欠品SKUの新規販売や広告露出を止め、各モールの販売可能数を修正します。
- 自社倉庫、RSL、FBA、実店舗にある現物在庫を照合し、移送の可否を確認します。
- 顧客へ確定見込み日を連絡し、待機、代替品、分納、キャンセル返金を提示します。
- 出荷担当と問い合わせ担当を分け、出荷作業が顧客対応で止まる状態を防ぎます。
- 倉庫能力が原因なら、臨時シフト、集荷枠の追加、外部倉庫への移管を検討します。
RSLやFBAへ預けた商品も、通常は自社が所有する在庫として確認対象に含めます。ただし、所有権放棄や廃棄、補償処理中の商品は、契約条件と自社の経理方針を確認してください。
顧客への連絡では、曖昧な見込みではなく、現時点で確定している日付と選択肢を伝えます。約束した時期を過ぎる場合は、店舗側から先回りして案内することが重要です。
受注残を再発させない方法

再発防止には、在庫の一元化、倉庫能力に合った販売設定、異常の早期検知が必要です。
| 領域 | 恒久的な対策 |
|---|---|
| 在庫 | 物理在庫を一元化し、チャネル別の売り越し防止枠を設ける |
| 販売 | 日次受注上限、注文締切時刻、現実的な納期表示を設定する |
| 予約販売 | 通常品と別SKU・別状態で管理し、入荷予定日と約束日を持つ |
| 調達 | 仕入先別の実納期、納期遵守率、最低発注量を記録する |
| 倉庫 | 入荷と出荷の作業枠を分け、人員と資材を事前に確保する |
| システム | 在庫同期の遅延、APIエラー、送り状未発行を通知する |
| 顧客対応 | 遅延理由、確定見込み日、選択肢をテンプレート化する |
| 経営管理 | セール前に受注量、在庫、処理能力、集荷枠を確認する |
一つの現物在庫を複数モールへ表示する場合、各画面の数量を単純合算してはいけません。販売可能数と物理在庫を分け、同期遅延が起きても売り越さない余裕を持たせます。
予約商品は通常在庫と混ぜず、入荷予定日と顧客へ約束した日を別々に記録します。発売延期が発生した際に、影響する注文と同梱商品をすぐ抽出できる設計が必要です。
毎日確認すべき受注残KPI
受注残は総件数だけでなく、経過日数、約束日、保留理由、日々の増減を組み合わせて監視します。
受注残日数は「受注残件数÷直近平均出荷件数/日」で算出できます。現在の残件数を通常の出荷能力で処理する場合、何日分の作業に相当するかを示す指標です。
| KPI | 確認できること |
|---|---|
| 未出荷件数・商品行数・個数 | 倉庫に残る作業量 |
| 受注残高 | 売上予定額と返金リスク |
| 経過日数別の件数 | 滞留の発生と悪化 |
| 最古注文日数 | 埋没した注文の有無 |
| 約束日超過率 | 顧客との約束の遵守状況 |
| 1日当たり受注数・出荷数 | 受注残が増える構造か |
| 保留理由別件数 | 在庫・決済などのボトルネック |
| 遅延理由キャンセル率 | 遅延による売上への影響 |
| 追跡番号連携未完了件数 | 見かけ上の受注残 |
EC全般や楽天市場について、受注残が何日・何件までなら正常という公開公式基準は確認できません。自店が表示した納期を上限とし、約束日超過ゼロを基本目標にします。
受注残と在庫の引当はどう関係するのか
受注残を正しく処理するには、注文に確保した引当済み在庫と、倉庫に実際にある物理在庫を分けて確認します。
引当済み在庫は特定の注文へ確保した数量であり、棚に商品があっても、すでに別の注文へ引き当てられていれば新しい注文には使えません。反対に、管理画面では引当済みでも、棚卸差異、返品未反映、モール間の更新遅延などにより、現物が不足している場合があります。
確認時は、受注残の商品行ごとに引当の有無を出し、未引当分を欠品SKUとして切り分けます。そのうえで、自社倉庫、RSL、FBA、実店舗にある現物在庫と照合し、移送できる在庫があるかを確かめます。複数モールの表示在庫は単純合算せず、全社の物理在庫から既存注文への引当分を除いた数量を販売可能数として扱うことが重要です。
引当済みなのに出荷できない注文は、決済待ち、住所確認、梱包中など在庫以外の保留理由へ分けます。引当の状態と保留理由を別項目で持つことで、欠品対応と倉庫作業を混同せず、受注残の原因に合った対応を選べます。
関連する自動化ツール
受注残の抽出やステータス別の確認作業は、楽天受注CSVの自動処理ツールで集計時間を短縮できます。
よくある質問
受注残に関する疑問は、集計範囲と約束日の基準を決めることで整理できます。
受注残と在庫切れは同じ意味ですか?
同じ意味ではなく、受注残は未出荷注文、在庫切れは販売可能な在庫がない状態です。在庫があっても、梱包能力や決済確認が原因で受注残は発生します。
予約商品も受注残に含めますか?
約束日前の予約注文は、通常の受注残と分けて将来受注残として管理します。約束日を超えた未出荷分は、遅延受注残へ移して対応します。
一部出荷した注文はどう数えますか?
注文全体を一件として残すだけでなく、未出荷の商品行数や個数も記録します。件数だけでは、残っている梱包作業や欠品数量を正しく把握できません。
受注残は何日以内なら問題ありませんか?
公開された一律の正常日数はなく、自店が表示した引渡時期が判断基準になります。業種平均ではなく、約束日超過の有無と最古注文日数を確認してください。
店舗の「次の一手」を一緒に進めるなら
運営代行・ECコンサル・AIツールまで、現場を知るチームがワンストップで伴走します。
西尾 勝太株式会社ラクダ 代表
楽天SOY 2年連続受賞 / 楽天NATIONSリーダー店舗 / 楽天NATIONS AIエバンジェリスト
楽天市場の月商を5年で200万円→2億円に伸ばした現場の実践者。売れるECの方程式にAIを重ね、EC事業者の「次の一手」に伴走しています。



