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最終更新: 2026.07.19

楽天の知的財産権侵害に注意|商標・画像・並行輸入のNG

楽天の知的財産権侵害に注意|商標・画像・並行輸入のNG

結論:楽天市場で最も見落とされやすいのが「知的財産権(知財)の侵害」です。 他社ロゴやキャラクター、他店の商品画像・説明文の無断使用、真正性を確認しない並行輸入品の販売は、たとえ悪気がなくても商標権・著作権の侵害に問われます。侵害が認定されると、商品削除や退店にとどまらず、差止請求・損害賠償・刑事罰にまで発展します。この記事では、知財に絞って「何がNGか」「通報されたらどうなるか」「自分の権利を守る通報の出し方」を実務ベースで整理します。

二重価格表示や不正な課金回避など、知財以外の規約違反全般については別記事「[楽天のガイドライン違反とペナルティ](https://rakurip.com/ec/rakuten-guideline-ihan/)」で詳しく解説しています。本記事は知財侵害に特化します。

楽天の知的財産権侵害とは?対象になる4つの権利

知的財産権とは、人の創造的な活動で生まれたものを保護する権利の総称です。ネットショップ運営でとくに関わるのは次の4つです。

権利保護する対象発生のしかた
商標権商品・サービスのマーク(ロゴ・名称・立体形状など)特許庁に登録して初めて発生
著作権文章・写真・イラスト・音楽・プログラムなど創作した時点で自動的に発生(登録不要)
意匠権商品のデザイン(形状・模様・色彩)特許庁に登録して発生
パブリシティ権著名人の肖像・氏名の経済的価値判例上で認められる権利

ポイントは、商標権と著作権で「権利の発生タイミング」が違うことです。商標は登録がなければ権利になりませんが、著作物は他人が撮った写真や書いた文章であっても、撮影・執筆された瞬間から自動で権利が生じます。「登録マークが付いていないから使ってよい」という判断は危険です。

商標登録の対象は幅広く、文字・記号・図形・立体形状のほか、色彩・音・動き・ホログラム・位置なども登録できます(色や音などは2015年以降に対象化)。

楽天でよくある知的財産権侵害のNG例

よくある知財侵害の4類型(他社ロゴや商標・キャラの無断使用・画像や文章の転載・並行輸入の表記)の図

「知らなかった」では済まされない典型パターンを、ケースで見ていきます。以下は実際に起こりやすい状況をもとにした架空の例です。

NG例1:他社ブランドのロゴを商品に使う(商標権侵害)

有名アパレルのロゴが気に入り、そのロゴを印刷したマグカップを製作して販売──。これは典型的な商標権侵害です。「服を売っているわけではないから大丈夫」という理屈は通りません。大手ブランドは自社の主力商品以外の区分でも幅広く商標を登録していることが多く、別カテゴリーの商品に使っても侵害になります。権利者からの警告を放置すれば、退店に加え刑事事件に発展するおそれもあります。

NG例2:人気アニメ・キャラクターのイラストを使う(著作権侵害)

人気キャラクターのイラストを描いたTシャツを販売する──。キャラクターは著作物であり、権利者の許諾なく商用利用すると著作権侵害です。ファンアートのつもりでも、販売した瞬間に営利目的となり、販売差止と高額な損害賠償を請求される可能性があります。

NG例3:他店の商品画像・説明文をコピーする(著作権侵害)

意外に多いのが、他店やメーカーサイトの商品写真・説明文の無断転載です。商品写真は撮影者の著作物、練り込まれた説明文も著作物になり得ます。「同じ商品を売っているのだから同じ画像でよい」は成立しません。メーカーから正式に配布された画像素材を使うか、自分で撮影・執筆するのが原則です。

NG例4:真正性を確認しない並行輸入品(商標権侵害のおそれ)

ブランド品を海外から仕入れて売る「並行輸入」は、条件を満たせば適法ですが、確認を怠ると商標権侵害になります(詳細は後述)。相場より極端に安い、仕入元の所在がはっきりしないといった場合は偽造品リスクが高く要注意です。海外からの輸入では、税関で差し止められた知的財産侵害物品が年間3万件を超えた年もあります(2017年時点)。

NG例5:商品デザインの模倣(意匠権侵害)

他社の登録された商品デザインをまねた製品を販売すると意匠権侵害になります。「見た目が似ているだけ」でも、登録意匠に類似すれば対象です。

知的財産権を侵害するとどうなる?ペナルティと罰則

侵害が起きると、段階的にリスクが重くなります。

  1. 楽天からの是正・削除・退店:権利者の通報を受けて、楽天が該当商品を削除したり、悪質な場合は出店契約を解除することがあります。
  2. 民事:差止請求・損害賠償:権利者は販売の差止めと、損害賠償を請求できます。
  3. 刑事罰:故意の侵害は刑事事件になり得ます。

罰則の目安は次のとおりです(商標法・著作権法)。

区分商標権・著作権の侵害著作者人格権の侵害
個人10年以下の懲役 もしくは 1000万円以下の罰金(併科あり)5年以下の懲役 もしくは 500万円以下の罰金
法人3億円以下の罰金

重要なのは、「悪気がなかった」「パロディのつもりだった」は免罪符にならないという点です。パロディ商品であっても、元のロゴ・キャラクターが登録・保護されていれば侵害になり得ます。趣味の範囲で模型などを作る分には問題になりにくいものの、それを「販売」した時点でリスクが生じます。

【権利者側】自分の商品画像・ブランドを盗用されたときの通報フロー

自分が撮った商品画像や、育てたブランドを他店に無断でまねされた場合、楽天の窓口から通報できます。

通報の流れ

  1. 証拠を集める:侵害されている箇所のURL、スクリーンショット、そして「自社の原版 → 侵害画像」を並べた比較資料を用意します。
  2. 権利の帰属を示す資料を準備:商標登録番号(商標の場合)、自分が撮影・作成したことが分かる資料(著作権の場合)など。
  3. 楽天の権利侵害通知窓口から申告:楽天市場の[権利侵害に関する通知](https://ichiba.faq.rakuten.net/detail/000011382)の案内に沿って、権利者侵害通知窓口へ必要情報を送信します。

通報を「通す」ためのコツ

弁護士の実務解説では、モールへの通報で最も大切なのは次の2点を、モール側が的確に理解できる形で伝えることだとされています。

  • ①どの出品が侵害しているのか(侵害商品の特定)
  • ②なぜ権利侵害が生じているのか(権利侵害の主張)

この2点が曖昧だとモールは動きにくくなります。URLと比較画像で「どれが・どう侵害か」を一目で分かるようにするのが有効です。

【通報された側】権利者から警告・通報を受けたときの正しい対応

逆に、あなたが権利者から「警告書」や「通報」を受け取ることもあります。放置は最悪手です。

サイト運営者は、侵害を知りながら合理的な期間内に問題商品を削除しないと、出店者と同様に差止・損害賠償の対象になり得るという裁判例があります(知財高裁 平成24年2月14日判決ほか)。これはモール運営者に対する判断ですが、出店者側も「知ってから放置」が最もリスクを高めるという構図は同じです。

受け取ったらすること

  1. まず該当商品の販売を止める(証拠は保全):ページを消す前にスクリーンショットで記録を残します。
  2. 主張の中身を確認:どの権利(商標/著作/意匠)を、どの商品が侵害していると言われているかを特定します。
  3. 自分の正当性を確認:正規に仕入れた真正品か、許諾済みか、独自制作かを裏付ける資料(仕入伝票・許諾書など)を探します。
  4. 不明・高額請求なら専門家へ:巨額の損害賠償を求める内容であれば、自己判断で示談せず弁護士・弁理士に相談します。

並行輸入品を楽天で売るときの注意点|3要件とブランド表記

ブランド品の並行輸入は、真正商品であれば商標権侵害になりません。最高裁は、次の3要件を満たす並行輸入は実質的な違法性を欠くと判示しています。

要件内容
①真正商品性その商標が、権利者によって適法に付されたものであること
②出所の同一性海外と日本国内で、その商標が同じ出所を指すこと
③品質の同一性国内の正規流通品と品質に実質的な差がないこと

注意したいのは、海外と日本で検品基準が違い、日本では本来流通しない品質の品が入ってしまうと③を満たさず侵害になり得る点です。また、3要件を満たさない品を「知らずに」売っても侵害に問われます。

仕入れ・表記でやるべきこと

  • 商流をたどれる仕入伝票を保管:楽天の出店審査でも、ブランド品はメーカーまたは正規代理店までの商流を確認できる仕入伝票の提出が求められます([楽天出店の注意事項](https://www.rakuten.co.jp/ec/open/attention/))。
  • 極端に安い・出所不明の仕入れを避ける:偽造品・非真正品のリスクが高まります。
  • 商品名に注意文言を入れる:並行輸入品・中古品などは、誤購入防止のため商品名の先頭に【】付きの注意文言(例:【並行輸入品】)を入れることが推奨・ジャンルにより必須とされています。

知的財産権侵害を防ぐチェックリスト

知財侵害を防ぐ確認フロー(権利を確認→出所や許諾を確認→表記ルールを守る)の図

出品前に、次の項目を確認しましょう。

  • [ ] 商品や画像に、他社のロゴ・ブランド名・キャラクターを無断で使っていないか
  • [ ] 商品画像・説明文は自作またはメーカー配布素材か(他店・他サイトからのコピーでないか)
  • [ ] キャラクター・著名人の肖像を使う場合、許諾を得ているか
  • [ ] ブランド品は真正品か、商流をたどれる仕入伝票があるか
  • [ ] 並行輸入品・中古品に【】付きの注意文言を入れているか
  • [ ] 他社の登録意匠をまねたデザインになっていないか
  • [ ] 権利者から警告が来たら放置せず、まず販売停止して確認する体制があるか

よくある質問(FAQ)

Q. 商品画像をメーカー公式サイトからそのまま使ってもいいですか?

A. 原則NGです。商品写真は撮影者(多くはメーカー)の著作物で、無断転載は著作権侵害になり得ます。メーカーが出店者向けに正式配布している素材を使うか、自分で撮影してください。

Q. パロディ商品なら商標権侵害になりませんか?

A. なり得ます。元のロゴやブランドが登録・保護されていれば、パロディでも侵害と判断されることがあります。「パロディだからOK」という例外はありません。

Q. 「知らなかった」場合でも罰せられますか?

A. 民事の差止・損害賠償は、故意でなくても対象になり得ます。とくに並行輸入では、確認を怠って非真正品を売った場合も侵害に問われます。仕入元の確認と証拠の保管が重要です。

Q. 他店が私の商品画像を盗用しています。どうすればいいですか?

A. URL・スクリーンショット・「自社原版→侵害画像」の比較資料をそろえ、楽天の権利侵害通知窓口から通報します。どの出品が・どう侵害しているかを明確に示すと対応が進みやすくなります。

Q. 権利者から高額な損害賠償を請求する書面が届きました。

A. まず該当商品の販売を停止し(記録は保全)、主張内容と自分の正当性を確認します。金額が大きい・内容が不明瞭な場合は、自己判断で応じず弁護士・弁理士に相談してください。

Q. 並行輸入品は楽天で売れますか?

A. 3要件(真正商品性・出所の同一性・品質の同一性)を満たす真正商品であれば可能です。商流をたどれる仕入伝票を保管し、商品名に【並行輸入品】などの注意文言を入れましょう。

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西尾 勝太

西尾 勝太株式会社ラクダ 代表

楽天SOY 2年連続受賞 / 楽天NATIONSリーダー店舗 / 楽天NATIONS AIエバンジェリスト

楽天市場の月商を5年で200万円→2億円に伸ばした現場の実践者。売れるECの方程式にAIを重ね、EC事業者の「次の一手」に伴走しています。

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