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最終更新: 2026.08.11

楽天の「AI店長」とは?発表内容と、今から準備できること

楽天の「AI店長」とは?発表内容と、今から準備できること

楽天市場に「AI店長」が来ます。2026年8月5日、パシフィコ横浜で開かれた「Rakuten AI Optimism」の基調講演で、三木谷浩史社長がその開発を明らかにしました。店長やスタッフの知識・接客スタイルを反映したAIアバターが、24時間365日、商品相談から購入支援までを担うという構想です。

提供時期は、8月10日に公開された楽天グループの2026年度第2四半期決算説明資料に「年内のローンチを予定」と記載されています。一方、料金・対象店舗・申込方法・設定方法は、2026年8月11日時点で発表されていません

では今、何をしておけばよいのか。三木谷社長は講演後のセッションで、出店者から「AI店長の実装に向けて今から取り組むべきこと」を問われ、「何でその商品を買うべきかのうんちくや商品説明が重要になる」と答えたと複数の媒体が報じています。

楽天から示された準備の方向性は、商品説明の充実です。ただし、AI店長が既存の商品ページやFAQをどう参照するのかは未発表です。この記事では、発表で確認できることと未発表のことを分けたうえで、その前提で取り組める準備を整理します。

※仕様に関する記述は公開されている発表・報道に基づきます。正式な提供条件はリリース時の楽天の公式案内で確認してください。

AI店長とは(発表で分かっていること)

AI店長で分かっていることと、まだ発表されていないことの対比。分かっていること=開発中、デモが公開された、2026年内ローンチ予定、24時間365日、商品相談への応答、商品の比較、レビュー紹介、おすすめ提案、注文手続きの支援、知識・接客スタイルを反映、店舗単位。まだ発表されていない=正式な提供開始日、料金、対象店舗の条件、知識をどう登録・学習させるのか、回答の管理機能、表示される場所、使用するAIモデル
項目2026年8月11日時点で確認できること
開発状況開発中。デモが公開された
提供時期2026年内のローンチ予定(楽天の第2四半期決算説明資料)
何をするか商品相談への応答、商品の比較、レビュー紹介、おすすめ提案、注文手続きの支援
いつ対応するか24時間365日
何を反映するか店長やスタッフの知識・接客スタイル、店長の人柄、店舗の特徴、商品の特性
位置づけ店頭で接客を受けるような、店舗単位のショッピング体験

デモでは、AI店長「イチコ」がスキンケア商品を探す利用者に肌質や好みに応じた商品を提案し、口コミを紹介して注文を完了する流れが披露されました。名前は「楽天市場」の“イチ”から取られたと報じられています。

三木谷社長は、リアルな人が24時間365日で何万件もの処理をするのは現実的でないとしたうえで、店長のプロファイルを読み込んだAI店長を各店舗が持つようにしたい、と説明したと報じられています。あわせて「インターネットショッピングは自動販売機ではない」という従来の考え方も示されました。楽天市場の「人による接客」という強みを、AIで拡張する位置づけです。

なお、この構想は2026年7月7日の楽天市場AI活用説明会でも、「店舗の知見を取り入れた対話型接客へ進化させる」という方向性として言及されていたと報じられています。

まだ発表されていないこと

以下は2026年8月11日時点で公開情報では確認できません。断定している解説を見かけたら出典を確認してください。

  • 正式な提供開始日(「年内」より具体的な日付)/料金/対象店舗の条件/先行利用の有無と申込方法
  • 店長やスタッフの知識をどう登録・学習させるのか(設定画面や入力形式)
  • AI店長が何を参照するのか(商品説明、FAQ、レビュー、画像の代替テキストなどのうち、どれを読むのか)
  • 回答の承認・禁止事項の設定・回答停止・人への引き継ぎといった管理機能
  • 表示される場所(アプリ/Web/商品ページ/店舗ページ)/使用するAIモデル

特に「どう学習させるのか」「何を参照するのか」が未発表である以上、「この項目を埋めればAI店長に反映される」と言える人は現時点でいません。この記事もそこは約束しません。

楽天のAI機能の中での位置

楽天市場には既に複数のAI機能があり、混同しやすいので整理します。

機能誰のためか役割
Rakuten AI for RMS店舗運営者商品説明文の作成、画像加工、問い合わせ回答案、レビュー返信案、データ分析などの業務支援
ディスカバリーレコメンデーション購入者会話なしで、興味に合う商品・画像・動画・コンテンツを提案
AIコンシェルジュ購入者楽天市場全体を横断して商品探し・比較・購入を支援
AI店長購入者特定の店舗の知識・人柄・商品特性を反映した接客

違いは範囲です。AIコンシェルジュが市場全体から探す横断型なのに対し、AI店長はその店舗の中で、その店の人として答えるものです。既存機能がAI店長の内部で再利用されるのか、共通のデータ基盤を使うのかといった技術的な関係は発表されていません。

AIコンシェルジュの実績(これはAI店長の数値ではありません)

楽天の第2四半期決算説明資料には、購入者向けAIコンシェルジュについて、2026年5月1日〜25日の従来検索経由との比較で購入までの時間が約41%短縮、平均注文単価が17%増という数値が示されています。

繰り返しますが、これはAI店長の実績ではありません。ただ、AIが商品情報を読んで会話で案内する形が、既に成果として測定され始めていることは示しています。

AIの基本:プロンプトとコンテキストの違い

プロンプトとコンテキストの対比。プロンプトはAIに渡す質問・指示・入力で、例は「乾燥肌に合う化粧水は?」。お客さまが決めるため店舗はコントロールできない。コンテキストはAIが回答を作るときに参照できる情報全体で、商品説明や属性など。店舗が用意しうる部分がある

準備の意味を理解するために、用語を2つ押さえてください。以下は一般的なAIの仕組みの話で、AI店長の仕様ではありません。

用語意味買い物の場面でいうと
プロンプトAIに渡す質問・指示・入力お客さまが打ち込む「乾燥肌に合う化粧水は?」
コンテキストAIが回答を作るときに参照できる情報全体商品説明や属性など、AIが手元に持てる材料

プロンプトはお客さまが決めます。店舗にはコントロールできません。一方、コンテキストの中身は、店舗が用意しうる部分があります。

同じ質問が来ても、手元の材料が「新商品入荷しました」しかない場合と、「乾燥肌向けに保湿成分を配合、皮脂が多い人には別ラインを推奨」まで書いてある場合とでは、AIが返せる答えの質は変わります。

ここで注意したいのが、量を増やせばよいわけではないことです。AIが一度に参照できる情報量には上限があり(コンテキストウィンドウと呼ばれます)、長い情報の中央に置かれた重要な内容ほど見落とされやすいという研究結果も報告されています。効くのは長く重複した宣伝文ではなく、短い単位で整理された事実・明確な見出し・属性・条件をそろえた比較表です。「盛る」のではなく「整理する」。これが方向性です。

準備①:商品説明を「専門家の語り」にする

売り文句を判断材料に変える対比表。「大人気の高保湿化粧水です」は保湿成分を高配合・洗顔後すぐに乾燥を感じる方・さっぱりタイプの別ラインへ。「高品質な国産素材を使用」は繊維が長い・毛羽立ちにくい・風合いが保ちやすいへ。「大容量でお得」は1日あたりの使用量・約何か月分・少量サイズもありますへ

三木谷社長の言う「うんちく」とは、なぜこの商品を選ぶべきかの判断材料のことです。売り文句を判断材料に変換します。

よくある書き方判断材料に変えた書き方
大人気の高保湿化粧水です保湿成分を高配合しているため、洗顔後すぐに乾燥を感じる方に向きます。皮脂が出やすい方には、さっぱりタイプの別ラインをおすすめします
高品質な国産素材を使用繊維が長いため毛羽立ちにくく、週3回以上洗濯する方でも風合いが保ちやすいです
大容量でお得1日あたり約◯mlの使用で約◯か月分です。まず試したい方には少量サイズもあります

共通しているのは、「誰に向くか」「なぜか」「向かない人は何を選ぶべきか」が入っていることです。

「向かない人」を書く

意外に思われるかもしれませんが、この商品が向かない人を書いておくと接客の質が上がります。店頭の良い店員は「お客さまにはこちらの方が合うと思います」と言えます。全商品が「万人におすすめ」と書かれた店では、その選び分けができません。これは人が読む場合もAIが読む場合も同じです。

押さえる項目

商品説明と属性欄に、次が言葉で入っているか確認してください。

  • サイズ、容量、素材、成分、原産地、対応機種、使用条件
  • バリエーション(色・サイズ)ごとの違い
  • 誰の、どの困りごとに、なぜ適するか
  • 使い方、頻度、手入れの方法
  • 価格、在庫、送料、発送の目安、返品・保証の条件

あわせて、商品名・ブランド・型番・SKUの表記を店内で統一してください。同じ商品を「Aシリーズ ◯◯」「A-100」「A100」と書き分けていると、同じものだと判断されにくくなります。

準備②:画像のalt(代替テキスト)に情報を書く

altの書き分け3種。情報を持つ画像は伝えている内容を簡潔に書く(例:Mサイズの着用イメージ、身長165cm、スカート丈は膝下5cm)。リンク・ボタンの画像は見た目ではなく機能を書く(例:サイズ表を見る)。装飾だけの画像はaltを空にする(例:区切り線、背景の飾り)。キーワードの詰め込みはしない

楽天市場の商品ページは画像中心です。ここに落とし穴があります。

画像の中の文字は「読めないことがある」

よく「画像内の文字は検索エンジンに読めない」と説明されますが、これは正確ではありません。Googleは画像内の文字を抽出できる場合があると説明しています。

ただしGoogleは現在も、重要な情報は画像ではなくテキストで掲載するのが最も安全としています。

掲載方法機械にとっての読みやすさ
HTML本文の文字最も扱いやすい。検索・コピー・翻訳・読み上げに使える
適切なalt画像の意味や役割を補える
画像の中だけの文字抽出に依存し、読む順番・見出し・表の構造との対応が失われやすい
画像の中の文字+同内容を本文にも見た目を保ちながら、重要情報を機械可読にできる

つまりサイズ表・成分・適合条件・配送条件・保証・注意事項を、画像の中だけに置かないことです。バナー画像は残してよく、同じ内容をテキストでも書いておく、というだけです。

altの書き方(W3C/WAIの整理)

altは画像の種類で書き分けます。

画像の種類altに書くこと
情報を持つ画像その画像が伝えている内容を簡潔に「Mサイズの着用イメージ。身長165cmでスカート丈は膝下5cm」
リンク・ボタンの画像見た目ではなく機能「サイズ表を見る」
装飾だけの画像空にする(alt=""区切り線、背景の飾り

キーワードの詰め込みはしないでください。Googleはaltを画像の重要なメタデータとしていますが、キーワードを並べる書き方は推奨していません。altに商品ページ全文を貼り込むのも逆効果です。書くべきは、その画像を見られない人に何が写っているかを説明する一文です。

全画像に完璧なaltを付けるのは現実的ではないので、サイズ表・仕様表・成分表の画像 → 着用や使用のイメージ → 比較画像の順に手を付け、装飾は空altで構いません。

準備③:FAQ・レビュー・コンテンツページを整える

商品ページの外にも、言葉にしておける材料はあります。

FAQは「実際に来る質問」で作ります。問い合わせで繰り返し来る質問を、質問と短い回答の形に分けます。質問文はお客さまの言葉のまま使うのがコツで、「配送日数について」より「注文してから何日で届きますか?」の方が実際の質問に近くなります。

なおGoogleは、2026年5月7日からFAQリッチリザルト(検索結果にFAQを展開表示する枠)を表示しなくなりました。ただしこれは表示枠の話で、FAQを整理して書くこと自体の価値は変わりません。

レビューは、店舗が言えないことを購入者が言ってくれる情報源です。サイズ感、組み立ての手間、実際の使用期間といった具体的な記述は、人による接客や商品説明の改善材料になります。レビュー返信で商品情報を補足しておくのも有効です。なお、AI店長がレビューを参照するかどうかは未発表です。

選び方・比較・使い方・お手入れは、コンテンツページに分けて書くと、商品ページを詰め込みすぎずに済みます。

やってはいけないこと

準備を急ぐあまり逆効果になる行為があります。

AIに書かせた文章をそのまま出さない。商品説明文作成支援AIは便利ですが、生成AIの出力は商品固有の仕様や効果の正確性を保証しません。それらしい成分名や効果が混じることがあります。誤った情報を置けば、それを読んだ人にも機械にも誤りが伝わります。人が必ず確認してください。

誇大表現・根拠のない最上級を使わない。「業界No.1」「必ず効く」は景品表示法上の問題になり得ます。健康食品・化粧品では薬機法の範囲にも注意が必要です。

altにキーワードを並べない。前述のとおり詰め込みは推奨されていません。

古い情報を残さない。終了したキャンペーン、旧価格、過去の配送条件が残っていると、読み手にも機械にも現在の情報として扱われる可能性があります。更新日を管理してください。

そして最も大事な点です。alt属性や構造化データを整えればAIに必ず引用・推薦される、という公式の根拠はありません。楽天がAI店長の採用条件を公表したこともありません。ここまでの準備は「情報をテキストで整理する」という一般原則であり、AI店長で有利になることを保証するものではありません。

それでも今やる意味

では仕様発表を待てばよいのでしょうか。2つの理由で、今やる方が合理的です。

1つ目は、商品数が多い店舗ほど時間がかかる作業だからです。商品説明の書き直しは1点あたりは短くても、点数が増えれば相応の期間になります。発表後に着手すると出遅れます。

2つ目は、AI店長の仕様に関係なく効く作業だからです。商品説明を判断材料にすること、重要情報を画像内だけに置かないこと、情報を持つ画像にaltを付けること、FAQを整えることは、今の検索や人の接客でも意味があります。仮にAI店長の参照範囲が想定と違っても、これらが無駄になる場面は考えにくいところです。

同じ流れは業界全体で起きています。Amazonは購入者向けAIを「Alexa for Shopping」として提供し、商品カタログ・レビュー・Q&A・Web情報を参照すると公式に説明しています。Walmartも同種のショッピングAIを展開しています。AIが商品情報を読んで案内する形は、楽天だけの話ではありません。

仕様が出たら確認する点

正式リリース時に、次を確認してください。準備の作り直しが必要になるとしたら、ここです。

確認することなぜ重要か
料金と対象店舗使えるかどうかが決まる
知識の登録方法専用の入力欄があるのか、既存の商品ページを読むのか
参照される情報の範囲商品説明だけか、FAQ・レビュー・コンテンツページまで含むか
回答の管理機能禁止事項の設定、回答の確認、停止、人への引き継ぎができるか
表示される場所アプリか、商品ページか、店舗ページか
誤回答時の責任と対応事実と違う案内をした場合の扱い

特に「知識の登録方法」と「参照される情報の範囲」が要注意です。専用フォームに入力する形式なら、整理したテキストを流用しやすくなります。書く場所より書く内容を先に整えるのが安全なのは、このためです。

FAQ

楽天のAI店長とは何ですか?

店長やスタッフの知識・接客スタイルを反映したAIアバターが、24時間365日、購入者からの商品相談への応答・商品比較・レビュー紹介・おすすめ提案・注文支援を行う機能です。2026年8月5日に開発が発表されました。

いつから使えますか?

楽天の2026年度第2四半期決算説明資料に「年内のローンチを予定」と記載されています。それより具体的な日付は、2026年8月11日時点で発表されていません。

料金はいくらですか?

2026年8月11日時点で発表されていません。無料か有料かも公開されていません。

AIコンシェルジュとは違うのですか?

違います。AIコンシェルジュは楽天市場全体を横断して商品を探す購入者向けの機能で、すでに提供されています。AI店長は特定の店舗の知識・人柄を反映した、店舗単位の接客AIです。

今から何を準備すればいいですか?

楽天から示された方向性は商品説明の充実です。具体的には「誰に向くか・なぜか」が分かる判断材料の形に書き直すこと、重要情報を画像の中だけに置かないこと、情報を持つ画像にaltを付けること、FAQを整えることです。ただしAI店長が何を参照するかは未発表で、これらが有利になることを保証するものではありません。

まとめ

楽天の「AI店長」は、店長の知識と接客スタイルを反映したAIアバターが24時間接客する機能で、2026年内のローンチが予定されています。料金・対象・設定方法・参照する情報の範囲は未発表です。

三木谷社長が出店者に示した準備は「何でその商品を買うべきかのうんちくや商品説明」でした。お客さまが打つ質問は選べませんが、AIが手元に持てる材料の中身には、店舗が用意できる部分があります。

まずは主力商品を1つ選び、「誰に向くか・なぜか・向かない人は何を選ぶべきか」を書き足すところから始めてください。サイズ表を画像だけで済ませているなら、同じ内容をテキストでも置く。仕様が発表されたら、上の確認表に沿って見直してください。

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西尾 勝太

西尾 勝太株式会社ラクダ 代表

楽天SOY 2年連続受賞 / 楽天NATIONSリーダー店舗 / 楽天NATIONS AIエバンジェリスト

楽天市場の月商を5年で200万円→2億円に伸ばした現場の実践者。売れるECの方程式にAIを重ね、EC事業者の「次の一手」に伴走しています。

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